フリーライターなるしかねえ

社会不適合な若者の日記です

とにかくeスポーツに触れてみてほしい|第40回『ケプ定』に思うこと

 この記事は前回の記事の余談です。先にこちらをお読みください。

ikiumejapan.hatenablog.com

 以下、オタクのお気持ち書き殴り日記につき、文体・構成がひどく乱れる部分がございます。寛大な気持ちでお読みください。

 

 

 こんばんは。ササンチです。駄文にお付き合いいただきありがとうございます。

 ただのオタク語りになっちゃうんですけど、僕は今回のことが、本当に嬉しいんですよ。
 僕はスポーツ観戦とゲームが好きで、その間の子みたいな存在のeスポーツはもっと好きで。
 中でもスマブラは、特に熱を注いで楽しんでいるタイトルのひとつなんです。まあ、VIP入りが限界ぐらいの動画勢なんですけど。
 とにかく、だからこそ、今回宇野選手がしてくれたことというのが、本当に素敵で、嬉しいことだという話です。

 

 常日頃からeスポーツを見てて痛感するのは、やっぱりゲームって、体を動かすスポーツと比べたら圧倒的にわかりづらいってことなんですよ。

 例えば、スケートをほとんどやったことがない人でも、“4回転フリップ”の難しさって見たらわかると思うんです。常日頃、体を動かしている経験の延長で、「氷上から飛び上がって4回転すること」の難しさが想像できるんです。細かいルールがわからなくたって、身体的にすごいことをやっているというのは理解できる。
 でも、ゲームって基本的にやったことがないとわからないんです。“ばきゅーん着地反転キャンセル横スマ”の難しさは、試した人にしかわからない。少なくとも、コントローラーを握ってスマブラをプレイしたことがないと、何がどう難しいのかを想像することすらできないんですよね。しかも、細かいルールもパッと見ではわからないことが多い。

 これがかなり致命的で、何も知らない人が初見で盛り上がるための重大な要素が欠けてるんです。実際にやった経験がないと、どうすごいのかがわからない。だから、初見で盛り上がれる要素というと「演出のかっこよさ」だとか「周囲の熱気のすごさ」だとかによる部分が大きい。
 身も蓋もない言い方をすれば、「なんかよくわかんないけどみんな盛り上がってる感」みたいな部分が重要になってくる。もちろんこういう雰囲気の力もすごくて、これだけでも十分に楽しめる人は楽しめるんですが、やっぱりメジャースポーツと比べたら物足りなくなってしまうんです。

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これだって初見じゃ何が起こってんのか全然わかんない

 あんなにルールがややこしくてよくわかんないラグビーのW杯が盛り上がったのだって、それこそ「なんかよくわかんないけどみんな盛り上がってる感」のおかげ……みたいに言われてることがありますけど、あれも結局みんな最初から「ラグビーの難しさ」はわかってたんですよ。
 デカい男とぶつかり合ったり、その間をすり抜けて素早く走ったり、あるいは楕円形のボールを狙ったところに蹴っ飛ばしたりする大変さは、なんとなくわかる。だから、その大変なことをやってのけるすごさがわかる。だから、盛り上がれる。(もちろん、ルールをわかりやすく伝える工夫や選手のキャラクターを立てる演出も素晴らしかったですし、それらを抜きにしてあの盛り上がりはあり得ませんでしたが、)根本はそういうことなんです。

 大変回りくどくなってしまいましたが、僕が言いたいのは、「ゲームのすごさはやってみないとわからない」ということ。そして、「だから、みんなにゲームをやってもらいたいよね」ということです(ここが主題です)(文章がへた)。

 

 ゲームに触れてもらう際に、きっかけとして「自分の好きな人」がやっているというのは非常に大きい。友達や家族、恋人、職場の同僚なんかに影響されて新しい趣味を始めるなんてのはよくあることですよね。そして、その規模を大きくしていくと「みんなの人気者」、すなわち芸能人やスポーツ選手のようなスターの存在に行きつくわけです。この影響力は本当にすごい。
 いま、小学生の人気ゲームランキングの1位と2位は『フォートナイト』と『マインクラフト』。理由は簡単で、小学生たちの人気者、ヒカキンさんがYouTubeで実況プレイ動画をいっぱい上げているゲームだからです。そういうことなんです。
 そういった意味では、近頃メディアでeスポーツが取り沙汰されることが増えて、テレビで芸能人が好きなゲームについてコメントしていたり、お笑い芸人がYouTubeでゲーム実況を始めたりすることが増えているのは本当に素晴らしい、好ましい時代の潮流です。

 とりわけ、スポーツ選手が味方についてくれるというのは、eスポーツというジャンルからすれば、格別の頼もしさがあるように感じます。

 ゲーム競技にeスポーツという名前がついてしまったことで、ゲーム競技界隈はスポーツ界隈に対して、コンプレックスにも似たよくわからないモヤモヤした感覚を抱くことになりました。これはおそらく、本をただせば日本語の「スポーツ」が「運動競技」という意味しか持たないがために生まれてしまった違和感なのですが、詳細は割愛します。
 とにかく、eスポーツ選手にとってスポーツ選手と比べられることは厄介なことなんです。だって本来、同種のものとして並べて考えられるようなものではないから。共通するところは多々あれど、「野球選手」と「棋士」と「F-1レーサー」を全く同じ括りに入れて比べようとはしませんよね?「eスポーツ選手」だって、粒度はそれぐらいのものなんです。「スポーツ(運動競技)の中のeスポーツ」ではない。
 でも、どこか一方でeスポーツがすごいだのなんのともてはやされれば、もう一方ではあんなもんスポーツじゃねえだのなんのと諍いが起こる。競技シーンの中心にいる人たちからすれば、そんな期待も論争もまるで興味はなくて、ただこのゲームで一番になりたいだけ。勝手な外野にギャーギャー騒がれて、辟易してるんです。

 そんな時に、スポーツの畑の人、それも世界で一線級の活躍をしている人から、「向こうにもこんな熱い競争の世界があるらしいぞ」と世間に伝えてくれる、その頼もしさったらもうこの上ないと思うんです。「ゲームはスポーツか否か論争」みたいなのに加勢してもらう必要なんて全くなくて、世間のスポーツファンたちにむけてただ一言、「このゲーム、すげえ面白いぜ」と言ってくれるだけでいいんです。
 それを、今回の宇野昌磨選手はとんでもなく高いレベルでやってしまったんです。彼はスマブラ界のトッププレイヤーさえも舌を巻くほどの、努力に裏付けられた確かな技量を見せてくれました。彼は、スマブラのコミュニティに、凄まじい情熱を直接ぶつけてくれました。彼はその笑顔でもって、フィギュアスケートスマブラという、なんの接点もなかった二つの世界を繋ぐ架け橋になってくれました。
 日本でゲーム好きを公表するスポーツ選手は数居れど、本業で世界トップレベルの実績を残しつつ、ゲームのコミュニティにも参加してトップ層に認められた例なんて、ほとんどありません。あとは卓球の水谷隼選手(『クラッシュ・ロワイヤル』で高レート帯に到達、個人で大会も主催した)ぐらいじゃないかな。『クラロワ』で言うとMLB田中将大選手もそうか。

 もちろん、そんなのは贅沢な例です。一流のスポーツ選手に、ゲームも極めてくれだなんて無茶な話。ゲームのやりこみ具合なんて浅くても何ら問題にはなりません。それより、どちらかというと重要なのは、コミュニティに積極的に関わるかどうかと、競技シーンの存在を認識しているかどうかです。コミュニティに直接関与するならできるだけこの熾烈なeスポーツの戦いを世間にも伝えるきっかけになってほしいけど、関与しないなら単に「面白いよ」だけで万事OKだし。
 ダルビッシュ有選手は『フォートナイト』が好き、大坂なおみ選手は『オーバーウォッチ』が好き。そういう「好き」の情報が、世間にじんわりと広がるだけでも十分だと思うんです。

 

 とにかく僕は、今回、宇野昌磨選手が自ら声を上げて、スマブラのコミュニティにまで足を運んで、「スマブラって面白い!」ということを満面の笑みで示してくれたことが嬉しい。kept選手がそれを上手に引き出して、視聴者に届けてくれたことが嬉しい。
 練習以外はほとんどゲームしてることなんかを、堂々と語ってくれたことが嬉しい(別に今回初めて語ったわけでもないけど)。もっと言うと、これは僕の曲解ですが、「ゲームなんかしてる暇があったらトレーニングしろ」なんて意見は古臭いものだと否定してくれたような気がして、僕は勝手に喜んでいます。トップアスリートの皆さん、いっぱい時間を余らせていっぱいゲームをしてほしい。できれば対戦ゲームを。
 そしてあわよくば、宇野選手や水谷選手のように、やりこんだゲームのコミュニティに乗り込んできて、どんどん壁をぶち壊してほしい。垣根も何も取っ払って、いろんなスポーツ、いろんなゲームに触れる人がどんどん増えればいい。eスポーツが当たり前に認められる世界って、たぶんそういうことの繰り返しの先に待っているような気がするんです。

 日本はeスポーツ後進国と言われていますが、着実に進み続けてはいます。時間の問題です。あともう少しすれば、「ゲームを触ったことのない人」の方が少数派になる時代が来る。eスポーツだって、きっと特別なものじゃなくなる。
 そうなった時に、一人でも多くの人が、eスポーツを趣味や娯楽のひとつとして持っていたらいいな、と僕は思っています。だから、今回みたいなことがあると嬉しい気持ちになるんですね。

 我ながら本当に支離滅裂で酷い文章になりましたね。結局僕が言いたかったことは、「宇野昌磨選手、ありがとうございます。」と「みんな、ゲームをしましょう。」の二つだけです。この文量はなんだったんだ。