フリーライターなるしかねえ

社会不適合な若者の日記です

『プリティーリズム・レインボーライブ』を観てしまいました

 アニメを観なくなりました。

 近頃、「脱オタして何もなくなってしまった虚しい人」みたいな話がTwitter等でよく聞こえてきますが、僕も例に漏れずその一人です。

 

 小さい頃からアニメは好きで、中学生になって深夜アニメにハマりました。ちょうど『けいおん!』の頃です。
 そこからは、毎シーズン“今期の気になるアニメ”をリストアップしては冒頭の数話で吟味し、切ったり切らなかったりで平均して4~5本くらいを完走していたと思います。
 思春期の僕は、すっかりアニメの魅力の虜になっていました。熱く燃えるバトルシーンは僕の胸を高鳴らせ、可愛く動く美少女たちは僕の心を癒し、意味不明なギャグは僕を笑顔にしてくれました。
 時には夜通しで名作を全話一気見したり、休み時間にオタク仲間と語り合ったり、友達の家でDVD鑑賞会をしたり。
 そういう楽しみに多くのエネルギーを割いていた時期が、かつて僕にもありました。

 

 大学に入る頃くらいから、アニメ離れが始まりました。受験に集中するために長らく娯楽を絶っていたことが主なきっかけですが、世間で市民権を得てきた「オタク」のマイナスイメージが強くなってきたことも大きく影響しました。ちょうど厄介ラブライバーが騒がれていた頃です。
 薄暗いジメジメしたところでひっそりと楽しんでいたものが、急に白日の下に晒されたようで、なんとなくむずがゆく不快な気分だったのを覚えています。
 大学でウェイ集団がスマホをシャンシャン叩いているのを見た時、好きなアーティストの話題に米津玄師の名前が挙がってきた時、語源も知らないであろう淫夢やなんJの語録が使われるのを聞いた時、自分の中で何かが冷めていくような感覚がありました。オタクの習性ですね。「俺たちのものだったはずなのに」みたいな。

  大学のオタサーにも入ってみましたが、微妙に居心地が悪くてすぐに辞めてしまいました。話の合う仲間が増えたことは嬉しかったですが、オタク特有の面倒な人間関係が繰り広げられていたり、“本物”と話すうちに自分のにわか度合を認識して勝手に劣等感を抱いたりして、ここは居場所にするべきじゃないと判断しました。
 相手はマウント取ってるつもりないんだろうけど、勝手にマウント取られた気分になってるみたいなこと、あるよね。自分の中にマウント取り取りオタクが棲んでいるのでマウント取られることにも敏感。地獄。

 

 気がつけば、とにかく「オタク」というレッテルを自分から剥がしたくなっていました。
 かつての「コソコソと陰でキモい趣味やってる奴ら」としての「オタク」は、基本的に平穏で収まりが良く、どこか落ち着くような感覚すらありました。
 しかし、「オタク」のイメージは「キモい趣味持ってるくせにはしゃいでる奴ら」に書き換わりました。もちろん、悪いのは一部のイキリオタクなんですが、それらと同じ括りにされることに強い不快感を覚えました。どの界隈でもラウドマイノリティはカス。
  そんな環境の中でキョロ充活動に精を出すうちに、次第にアニメへの情熱は薄れていきました。視聴するアニメの本数は減っていき、オタクっぽい見た目だけが残りました。

 情熱は薄れても関心は断ち切れないのが面倒なところです。オタクコミュニティへの帰属意識から、話についていくための情報収集だけは続けました。『けものフレンズ』とか『ポプテピピック』みたいな話題作だけはちらっと観ました。すべては友達とおしゃべりするために。
 楽しかったはずなのに、片手間でも続けられる趣味なのに、何故かやろうとは思えない。自分でも意味わかんない。そういう生き物が生まれました。

  

 

 自分語りが大変長くなりましたが、ここまでが前置きです。

 今回、僕が観たのは『プリティーリズム・レインボーライブ』(以下、『プリリズRL』)全51話。現在放送中の『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』の影響で人気が高まっている『キンプリ』シリーズの大本にもなっている作品です。

 きっかけは、久しぶりに飲みに行った中学の同級生の一人でした。彼は、今もなお毎シーズン多くのアニメを視聴し、Twitterで実況することを生き甲斐としている強いオタクです。
 僕のアニメの嗜好も理解している年来の友人は、オススメのアニメを訪ねた僕に対し、『プリリズRL』をこう紹介しました。 

 

「いや、『プリリズ』は『カブトボーグ』だよ!」

 

  は?なにいってだこいつ

 

 

 『人造甲虫カブトボーグ V×V』は、僕の大好きなクソアニメです。玩具販促アニメとは思えないぶっ飛んだ脚本と謎会話で有名な、『チャー研』などと並び称されるキチガイ作品の大御所です。ご存じない方は以下を見てもらえればだいたいわかると思います。

www.nicovideo.jp

 一般的なアニメファンの多くには見向きもされないようなジャンルですが、僕はこういう「バカなこと、しょぼいこと、意味わかんないことを大真面目にやる」系の作品がツボで、昔から好んで視聴していました。他に例を挙げると『天体戦士サンレッド』や『健全ロボ ダイミダラー』などがあります。

 一方で僕は、「女児向けアニメだけは観ないぞ」というこだわりがありました。いい年こいて『少年ジャンプ』を愛読しているくらいですから、子供向けアニメの青臭い熱さや真っ直ぐさは好きな部類なのですが、それが女の子を対象にしたものとなると、途端に抵抗が増してしまいます。男子たるものこうであれ。そういう自分の中のプライドが許さないような感覚でした。
 たまたま僕の周囲のプリキュアおじさんやプリパラヤクザに“キツい人”がいたことも影響して生まれた偏見なのだと思いますが、女児アニメオタクは性的倒錯感が強く、かつ他人の畑にずかずか踏み込んでいくような印象があり、正直言ってかなりの嫌悪感を抱いていました。いや、純粋になんかキモくないですか?実際。

 しかし、そんな女児向けアニメのひとつである『プリリズRL』が、どうやら大好きな『カブトボーグ』に通ずるものを持っているらしいという噂。加えて、『キンプリ』の注目度が高まり、話題になってきていること。それに伴って行われる、『プリリズRL』の無料配信。そして、暇すぎる連休。条件は整いました。
 いざ、尋常に視聴。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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うわ~っ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 衝撃の体験でした。
 『プリリズ』は『カブトボーグ』でした。プリズムショーはボーグバトルでした。何を言ってるのかわからねーだろうが略
 それどころか、『プリリズRL』には、熱い戦いも、可愛い美少女も、笑える謎会話も、すべてが詰まっていました。 

 もう、何から話していいかわからない。筆舌に尽くしがたい。最近ブログ書いてて思うんだけど、「筆舌に尽くしがたい」って便利な言葉だよね。語彙力のなさを賢そうにごまかせる感じ。
 いや、本当にすごかったんです。一介のオタクに回帰した僕の語彙力では、どう表現していいかわからないほどに。この世に「尊い」という概念がない時代に視聴したかった。尊い。 

 終盤、怒涛のフラグ回収を見せる人間ドラマは、僕の心に深く突き刺さりました。畳み掛けるようなカタルシスが、全身に染み渡る感覚。気づけば涙が零れていました。
 女児向けアニメだからと見下していた僕のプライドは、真っ二つに切り裂かれました。どう考えても子供向け作品ではない。

  NHK教育テレビでやってた番組って、大人になってから観ると結構面白いよね。『ハッチポッチステーション』とか、明らかに「子供と一緒に見ている大人」の存在が想定されている。そんな話を、誰かとしたことを思い出しました。
 YouTubeのコメント欄には、「リアタイ当時は何でなるちゃんが泣いてるのかわからなかった」といった声もありました。わざわざつべにコメントする層ですから、中学入りたてくらいの女子でしょう。明らかに痛い青春時代を送っているオタク女でしょう。幼少期にこんな尊みの塊をぶつけられたら、理解できずともオタクにはなる。仕方ないね。

 とにかく、女児向けという括りだけで敬遠してしまうにはもったいなさすぎるくらいの魅力が、『プリリズRL』には詰まっていました。マジでもっと早く観ておきたかった。

 

 久々に51話ものアニメを視聴しましたが、その作品が『プリリズRL』で本当に良かったです。ああ、アニメっていいな。そういう感覚を思い出しました。
 とか言って、連休が明けたらまたアニメなんて観なくなる気もするんですけどね。まあそれはそれ。
 今は何よりもまず、この作品に出会えたことと、この作品を勧めてくれた友達に感謝したいと思います。本当にありがとう。
 こんな素晴らしい作品が公式で無料配信されていることにも感謝ですね。全話無料ってヤバくないか?ありがとうテレ東。ハピなる。

  

 【公式】プリティーリズム・レインボーライブ 第1話「私はなる!店長にな~る!」 - YouTube

 

 『プリティーリズム・レインボーライブ』を観てください。