そこのお前!『アンデッドアンラック』1冊に含まれる情報量は『アンデッドアンラック』5冊分だぜ
この記事は、とにかく面白い作品を求めているオタク諸兄に向けて、少年ジャンプで今最もアツい漫画『アンデッドアンラック』をおすすめする記事です。
作品の魅力を少しでもわかりやすくお伝えできるようプレゼン形式で、スライドもご用意しました。どうか最後までお付き合いください。
というわけで、今回ご紹介するのは週刊少年ジャンプで連載中の漫画『アンデッドアンラック』(以下、『アンデラ』)。
まだ連載が始まってから1年程度ですが、単行本は続々と重版出来。さらには『次にくるマンガ大賞』コミックス部門で第1位を受賞するなど、人気と期待が高まり続けている作品です。
概要編
少年ジャンプ作品と言えば、近年では『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』に代表されるように、アニメ化をきっかけに国民的大ヒットを記録する“黄金ルート”が確立されています。大衆受けとは縁遠いジャンルの上記2作品がこうしてヒットしている現状を見るに、既にアニメ化の決定している『チェンソーマン』もこれに続くと見ていいでしょう。
そしてこの流れに続くとすれば、間違いなくこの『アンデラ』です。少年漫画の枠に留まらず、幅広い層に響くポテンシャルを持っているこの作品。一体どんな内容なのか、極力ネタバレなしで紹介していきます。
「いや、『チェンソーマン』が国民的アニメは流石に無理じゃね?」という声も聞こえてきそうですが、個人的には行けちゃいそうな気がする派です。まあ、この話は一旦置いておきましょう。
まずは属するジャンルで言うと、こうですね。てんこ盛りに見えますが、全てがこの物語の本筋です。「ちょっぴり恋愛要素もあるからラブコメって書いちゃいました」ではありません。あらすじを追いながら説明していきましょう。
物語の主役はこの二人。
左が主人公のアンディ。こいつは不死の能力を持ったアンデッドです。体が千切れても砕け散っても、すぐに再生してしまう。悠久の時を生き続ける彼は長すぎる人生に飽きて、常に本物の死を求めています。死こそが人生のゴールということで、最高の形でアガリを迎えたい。
右がもう一人の主人公、ヒロインの風子ちゃん。触れた者に不運な事故をもたらす能力を持った、人間爆弾です。本人の意思にかかわらず、雷を落としたり、飛行機を墜落させたりして、時に大切な人の命すら奪ってしまう。本当は少女漫画のような恋愛に憧れているのに、この能力のせいで人と触れ合うことすら叶わないため、推し漫画の完結と共に命を絶とうとしている。
二人の出会いから物語は始まります。死にたいのに死ねないアンディと、殺したくないのに殺してしまう風子。ここで奇跡的に需要と供給がマッチするんですね。絶対死なないマン VS 絶対殺すウーマンのほこたて対決みたいなことになる。
アンディは、風子の不運の力を利用すれば「最高の死」を迎えられるのではないかと目論んで接触し、能力の可能性を探っていく。一方の風子は、第一印象こそ悪かったものの、まともに触れ合っても平気でいられる存在に初めて出会えたことで、生きる希望が芽生えてくる。そうして行動を共にするうちに互いを知り、絆が深まっていく……というのが二人の関係性。
さて、ここからストーリーがどう動いていくのかと言うと、こちら。
何と言っても二人は、世にも珍しい異能を持った得体の知れない存在。未確認現象そのものなんです。彼らのような能力者は「否定者」と呼ばれるんですが、この二人の否定者の接触を受けて、未確認生物を捕獲して管理しようとする統制組織「ユニオン」が二人の前に立ちはだかります。
目的である「最高の死」を達成するためには、障害となる敵を退けなければならないということで、二人は自ずと戦いの道を進むことに。アンディにとっては「風子を失う = ゲームオーバー(死ねなくなる)」なので、必然的に風子ちゃんを守りながら戦う形が基本になります。ラブコメが加速しますね。
そして、新たな否定者や未知の怪物「UMA」との戦いの中で、彼らはこの世界に散りばめられた多くの謎と対面します。UMAって何? ユニオンの目的は? そもそも自分たちは何者? そんな謎だらけの世界で、次第に大きなスケールのバトルに巻き込まれていく。
世界の謎を暴き、最高の死を見つける物語。王道バトル・ラブコメ・世界解明の全てを絶妙なバランスで兼ね備えた漫画。それが『アンデッドアンラック』です。
魅力編
大筋を説明したところで、今度はこの漫画の何がスゴイの?という話。語りつくせないほど様々な魅力がこの漫画には詰まっていますが、無理矢理ギュギュっとまとめてご紹介しましょう。キーワードは2つ、「情報量」と「テンポ」です。
この漫画のスゴイところ、1つ目は情報量。説明してきた通り、この漫画には「バトル要素」「ラブコメ要素」「謎解き要素」の全てが詰まっていて、1話あたり、1巻あたりの情報量がもはや並の漫画とは比べ物になりません。溺れるほどたくさんの要素・情報が詰め込まれた、圧倒的な濃密さを誇る作品です。
先に述べたストーリーや、深く練られた設定、グッとくる演出、表情豊かなキャラといった“面白味”が濃縮されていて、読めば「ここ好き!」と推せる要素が数え切れないほど見つかります。要素ひとつひとつの質が高く、ラフに楽しみたい人も深く考察したい人も満足できる内容です。
さらに光るのが、その膨大な情報量を巧みにコントロールする綿密な作り込み。ここ一番のタイミングで重要な新事実を明かしたり、謎めいた台詞で周到に伏線を張っておいたりと、情報の出し方が絶妙の塩梅になっています。読むたびに新たな発見があり、読めば読むほど味が出る漫画です。
そして、これだけ濃い内容でありながらも、ストーリーの展開はテンポ重視で進んで行くのがこの漫画のスゴイところ、2つ目。詰め込まれた情報量の多さも相まって、読んでいる際の体感速度はいっそう速くなります。イメージとしてはこんな感じです。
この峠道が物語の道筋として、カーブのきついコーナーが盛り上がるポイントだとすると、一般的な漫画が安全運転で2、3話かけて1つ曲がるようなコーナーを『アンデラ』は爆速でいっぺんに3つ4つ曲がっていくんですね。
もう少し厳密に言うと、中編・長編の尺が常識的な長さの半分くらいに収まっていて、なおかつ実質1話分のエピソード(例:フラグを1つ回収する回、少し寄り道する小話回)が1話未満の尺でたくさん差し込まれているような形です。とにかく驚異的なハイテンポで休む間もなく話が進むので、次から次へとサクサク読めてしまう。
加えて、出し惜しみをしない思い切りの良さもまた、このスピード感に拍車をかけています。最終盤に取っておくようなシチュエーションを早い段階で容赦なく繰り出してくるので、ぶつかった衝撃がより大きくなる感覚ですね。「これ、普通は20巻ぐらいでやる話じゃないの!? まだ4巻なんだけど!?」みたいな。
他にも、色々と兼ねる構成だとか絵で見せる工夫だとか、情報を圧縮・濃縮するテクニックがふんだんに使われている……ようですが、高度かつ繊細すぎてもはや謎です。何かスゴイことが行われていることだけは分かる。
この辺の仕組みに関しては理解が追い付いていなくとも、楽しむ分にはブラックボックスという認識で問題ナシです。創作が得意な方はその中身も分析してみるともっと楽しいと思います。
まとめて言うと、『アンデラ』は「多ジャンルにわたる莫大な情報量を含みながらも、それを圧縮する謎のスゴイ技術のおかげでラフに楽しめちゃうヤバい漫画」だということです。
もう本当に何が起こってるかわからないけれども、漫画でしか成し得ないような表現の妙によって、1冊に何冊分もの中身が詰まっている。めちゃくちゃ濃いはずなのに疾走感バツグンで、ごった煮の盛り盛りなのに読み味スッキリ爽快という現象。言わば超スピード読書体験です。
こればかりは、実際に目で見て確かめていただきたい。物語の面白さも勿論ですが、体験としての面白さは語るより実感してもらう方が早いので……。
実食編
というわけで、じゃあどこで読めばいい?という話。連載2年目でまだまだ短いので、今なら最前線まで追いつくのは簡単です。
まずは試し読みということで、アプリストアでゼブラックをダウンロードしましょう。なんと2巻まで無料で読めてしまいます。こんなことがあっていいのか?
2巻まで読んですっかりハマってしまったあなた。言われるまでもないとは思いますが、単行本を買いましょう。たったの5冊(もうすぐ6冊)なのですぐに集めきれます。
2巻まで読んでも今ひとつハマらなかったあなた。3巻からめちゃくちゃ面白くなるので、試しに買ってみてください。ちなみに一番面白いのは最新刊です。
最新刊まで追いついたけど続きが気になる!というあなた。少年ジャンプ本誌を読みましょう。若干安く済むジャンプ+での定期購読がおすすめです。バックナンバーも買えば単行本のすぐ後から読めます。他にも面白い漫画がいっぱい載っていてお得。
それから、既にジャンプを購読しているあなた。読者アンケートで『アンデッドアンラック』に投票しましょう。正直、これが他の何よりも大事です。あなたの一票がアンディと風子ちゃんの未来を救います。マジでお願いします。
おわりに
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。ネタバレしない範囲で出来る限りわかりやすく表現できるよう努力しましたが、うまく『アンデラ』の魅力が伝わったでしょうか。
結局は「とにかくスゴイから買って読んでくれ」の一点に集約される話ではありますが、こと『アンデラ』に関してはスピード感あふれる漫画の性質上、立ち読み・流し読み程度では置いてけぼりを食らってしまう恐れがあるため、いつでも読み返せる形で手元に置いておくのがベストだという点にだけは触れさせてください。せっかく毎週ジャンプを読んでいるのに『アンデラ』の波に乗り損ねてしまっている勿体ない人たちも多いので、どうか気づいてほしい。
長くなってしまいましたが、今回僕がお伝えしたいことは以上です。これを読んだ人が一人でも多く『アンデラ』を手に取ってくれることを願います。
何故この記事を書くに至ったか等、本題とは関係ない話を別記事に書きました。こちらはネタバレありなので『アンデラ』読者の方向けになりますが、よかったらどうぞ。
ikiumejapan.hatenablog.com
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いま少年ジャンプで一番アツい漫画の魅力をプレゼンする記事を書きました。あらすじの部分だけでも聞いていってください。このアツさ、君に伝われ~~#アンデッドアンラック #アンデラ
— ササンチ (@pluMegane) 2021年4月20日
『アンデッドアンラック』の超スピード読書体験に震えろ - フリーライターなるしかねえ https://t.co/jtvs9bXvxJ pic.twitter.com/NsXszaAJ40
参考・引用
『アンデッドアンラック』1~5巻|戸塚慶文(集英社)
アンデッドアンラック公式 (@undeadunluck_of) | Twitter
『アンデッドアンラック』戸塚慶文「つらい境遇の人も、みんな肯定したいという思いで描いています」【インタビュー】 | ダ・ヴィンチニュース
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