フリーライターなるしかねえ

社会不適合な若者の日記です

世界一面白い対戦ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド』をおすすめしたくない3つの理由

 『リーグ・オブ・レジェンド』(以下、『LoL』)をご存知でしょうか。MOBAと呼ばれるジャンルのPCゲームで、世界一のプレイヤー人口を誇るオンライン対戦ゲームです。全世界で1億人以上がプレイすると言われる『LoL』は、eスポーツ競技としての人気も高く、世界大会の優勝賞金は数億円にも上ります。
 2016年の日本サーバーオープンから、国内プロリーグ『LJL』の成長・拡大や近年の世界大会における日本代表チームの躍進なども相まって、国内での知名度も上昇しつつある大注目のゲームです。

  僕も日本サーバーが出来た頃に始めた身ですが、今ではその魅力にどっぷりと浸かっています。出来るなら一人でも多くの人にこの面白さを知ってほしいですし、大好きなこのゲームをみんなにおすすめしたいと思っています。

 しかし、僕はこの『LoL』を手放しで人に勧めることに強い抵抗があります。今回は『LoL』を人に勧めたくても勧められないその理由について、大きく3点に分けてご紹介します。長くなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。

 

 

 

 

 

3つの重大な欠点

 

1.手間がかかりすぎる

 『LoL』は参入コストが非常に低く、始める分には手軽な部類のゲームです。何と言っても基本プレイが無料。要求されるPCのスペックも低く、低価格帯のノートパソコンでも問題なくプレイできるくらいです。
 ルール自体もシンプルで、5対5のチームを組んで相手のネクサス(本陣)を破壊した方が勝ちというもの。チャンピオン(プレイヤーキャラクター)もマウスクリックで直感的に動かすことができ、ものによってはさほど煩雑な操作も求められずに済みます。

 しかし、大変なのはここからです。このゲームには、あまりにも多くの時間と労力が求められます。

 まず、1試合のゲーム時間がおよそ25~40分と長いです。どんなに早くても15分、長引けば1時間以上に及ぶ場合もあります。
 その上、試合は常にノンストップ。ラウンドが切り替わる、相手の手番を待つなどといった形でプレイが止まる瞬間は、このゲームには存在しません。倒されてから復活するまでの操作不能時間ですら、マップ上のチャンピオンやミニオンは動き続け、戦況は変化していきます。要するに、一度ゲームを始めてしまったら、数十分は目と手が離せないということです。

 加えて、何よりも特筆すべきは、ネクサスを破壊するに至るまでの細かな要素の多さ。とにかく、勝つためには覚えなければならないことが多すぎるのがこの『LoL』というゲームです。

 使用キャラだけを取ってみても、現時点(2020年8月)で150体ものチャンピオンが存在する上に、それぞれに4つの発動スキル+1つの自動スキル(アビリティ)が存在します。これら700以上のスキルの性能をゲーム内で全て確認するまでに、新規プレイヤーはおおよそ1年くらいは“初見殺し”をされ続けることになるでしょう。
 各チャンピオンが異なったステータスやスキルといったユニークな性質を持っていることによって、それぞれに得意な戦術も異なり、相性の良し悪しも明確です。味方との連携や敵とのマッチアップのパターンが無数に存在する中で、それらの相性に関する理解度が高ければ高いほど、試合での有利を築き上げやすい仕組みになっています。

 もちろん、試合を決定づけるのは使用するチャンピオンだけではありません。視界、経験値、ゴールド、ルーン、装備アイテム、サモナースペル、ミニオンウェーブ、エレメンタルドラゴン、等々……あまりにもたくさんの要素が、試合に多様性をもたらします。そして、そういった細かな要素についての知識の差が、戦況の有利不利に大きく響いてきます。これらの知識が不足しているだけで、一方的にアドバンテージを取られ続ける羽目になり、勝利からは遠のいてしまうわけです。

 さらには、これら全ての要素が約二週間に一回のアップデートで目まぐるしく変動します。「数ヶ月『LoL』から離れて戻ってくると別ゲーになっている」とまで言われるほどで、最新の情報を集めて、知識をつけるだけでも一苦労です。

 つまりは、試合を有利に運ぶためには座学の時間も多く必要になるということです。

 やはり『LoL』も対戦ゲームですから、負けてばかりでは楽しくありません。しかしながら、このゲームでまともに勝てるようになるまでには、膨大な時間と労力が必要となります。この手間の多さを新規参入の初心者に強制するのは、どうしても気が引ける……というのが、このゲームを勧めづらい大きな理由のひとつです。

 

 

2.民度が低くて荒れやすい

 はっきり言って、『LoL』はギスギスしやすいゲームです。

 これは無料オンラインゲーム全般に言えることですが、どうしても民度の低いユーザーが目立ちます。試合が劣勢に傾くと、チャットで執拗に暴言や煽りを繰り返したり、意図的な利敵行為や切断・離席といった悪質行為に走るプレイヤーが現れるのはもはや日常茶飯事です。
 こういったプレイヤーが味方に現れてしまうと、喧嘩しているチームや一人少ないチームを抱えて決着までの長い時間を過ごすことになります。控えめに言って地獄です。
 当然、運営に通報すれば当該ユーザーにペナルティが与えられるシステムは整っていますが、それでもなお悪質行為は後を絶たないのが現状です。 

 これには、『LoL』というゲームの特性も深く関わっているでしょう。
 1対1のゲームや数分で終わるゲームならいざ知らず、『LoL』は複数人で長時間にわたって行うゲームですから、自分一人が周りに後れを取っているという状況がもたらすストレスの大きさはかなりのものです。すごろく系のパーティーゲームを想像してもらえるとわかるかと思います。『桃鉄』で友達が機嫌を損ねてしまうアレです。
 さらに、一人が背負った不利は往々にしてチーム全体に波及します。勝ちたい気持ちがはやるあまり、味方のミスに過敏に反応してしまうこともあるでしょう。プレイヤーは、味方に足を引っ張られて負けてもニコニコしていられるほどの聖人ばかりではありません。それにしても、言い方が酷すぎる人が多いですが。 

 まとめると、時に逃げ出したくなったり、悪態を吐きたくなったりするほどの大きなストレスを伴う恐れのあるゲームでありながら、それに見合うだけのストレス耐性を持ち合わせていないユーザーも多くプレイしているために荒れやすい環境になっているということです。

 そのせいもあってか、コミュニティ内での揉め事や、不毛な晒し・叩き行為の応酬も絶えることがありません。ゲーム内の悪質行為やプレイヤー同士の痴情のもつれなど、何か少しでも問題を起こしたプレイヤーはたちまち槍玉に挙げられ、私刑じみた批判の雨に晒されます。炎上騒ぎを祭りのように待ち望んでいる人々がコミュニティに少なからず存在していることも、この悪習を助長しているでしょう。
 こうした心無い言動や、界隈の軋轢に触れることになるくらいなら、初めから勧めない方がいい……という道理です。

 

 

3.非常に中毒性が高い

 ここまで読んで、「どうしてそんな辛いゲームをプレイし続けるんだ?」と感じる方もいるかと思います。その理由は簡単で、このゲームにはここに挙げたような多くの欠点を補って余りある面白さがあるからです。

 『LoL』の試合は選択の連続です。どのチャンピオンを使うか、どのアイテムを買うか、スキルをいつどの方向に打つか、ミニオンを倒すか敵チャンピオンに攻撃するか、対面のタワーを折りに行くか他の味方を助けに行くか……。各プレイヤーの利益を求めた選択が、時に有利をもたらし、時に裏目に出るという繰り返しによって千差万別の試合展開が生まれる、その多様性こそが『LoL』の醍醐味です。

 一方で、この「期待に伴う選択とそれに対する報酬」という構造にひとつの落とし穴があります。中毒症状です。

 中毒については、ギャンブルやソーシャルゲームのガチャがよく指摘されるところですが、『LoL』もまた例外ではありません。自分の正しい選択、または“味方ガチャ”の当たりによって勝利を掴んだ成功体験は、脳に快楽をもたらします。
 *味方ガチャ:試合のマッチングのこと。基本的に実力が近い者同士がマッチするが、運よく相手チームより強くて頼もしい味方を引けると“当たり”。
 『LoL』のゲーム内は、細かな成功体験で満ちています。ゴールドを手に入れる音がチャリンと鳴った時、連続キルのアナウンスが流れた時、敵のネクサスが爆発四散した時、プレイヤーの脳内では間違いなくドーパミンが溢れていることでしょう。
 一度その味を知ってしまえば、何度でもそれを求めるようになります。何度失敗しても、何度味方に暴言を吐かれても、その分さらなる成功を求めて次の試合へと移ってしまいます。

 かくして、うまくいった時の快感を得たいという期待と、うまくいかなかった時の負債を返上したいという未練によって、プレイヤーはどんどん『LoL』から抜け出せなくなっていきます

 この中毒性の高さに加え、頻繁なパッチによる変更や、上位プレイヤーの開拓によるメタの変化など、様々な新しい刺激がプレイヤーをマッチメイキングへと誘います。
 もう一戦、もう一戦と繰り返すうちに生活リズムが崩れてしまうことはおろか、「PCを立ち上げると手癖で試合を開始してしまう」だとか、「PCが壊れてしばらくプレイできなくなったが、無性にやりたくなってしまいネカフェに駆け込んだ」なんて話も珍しくありません。

 当然ですが、こうした中毒症状はプレイヤーの適切な自己管理によって防げるものです。中毒性があるからといって、必ずしもゲームそのものが忌避されるべきではありません。
 しかし、これもゲームが敬遠される理由のひとつとしては十分と言えるでしょう。この『LoL』は、生活に支障をきたし兼ねないほどの、魔性の魅力を持ったゲームだということは覚えておいてください。

 

 

 

 

それでも『LoL』を勧めたい

 ネガティブな話ばかりが続きましたが、僕は決して『LoL』を貶めたいわけではありません。繰り返しますが、僕もこのゲームが大好きで、本当はみんなに『LoL』をおすすめしたいんです。

 『LoL』は、世界一面白い対戦ゲームと称しても過言ではありません。このゲームを仲の良い友達と一緒にワイワイとプレイする楽しさは群を抜いています。ストーリーの世界観や個性豊かなキャラクターにも、味わい深い魅力があります。プロシーンにおける試合の熱さと奥深さは、どんなメジャースポーツと比べても遜色ありません。腕を磨いて高ランクを目指す以外にも、多様な楽しみ方が出来るのが『LoL』のいいところだと僕は思います。
 対戦ゲームが好き、戦略ゲームが好き、協力プレイが好き、ファンタジーが好き、スポーツ観戦が好き、あるいは界隈のゴシップが好き。どれかひとつでも当てはまるのであれば、間違いなく『LoL』を取り巻く世界を楽しむことができるでしょう。 

 これらの面白さを存分に楽しもうとする中で、上記の欠点から嫌な思いをすることもありますが、それもプレイヤーの意識次第である程度は避けられるものです。
 実力の近いエンジョイ勢同士で遊べば、味方のゲーム知識に多少の不足があっても互いに笑って許せるでしょう。プロシーンの試合観戦を中心に楽しめば、ゲーム内のギスギスとも無縁です。中毒症状だって、あらかじめハマりすぎないように気をつけてさえいれば問題ない話です。

 そうやっていくつかの欠点から上手に距離を置くことができれば、あるいは欠点さえも楽しむことができれば、LoL』の体験はあらゆるゲームの中でも最高のものになり得ます。 

 『LoL』の魅力や面白さについてはまだまだ語り足りませんが、ここではこれくらいに留めておきます。欠点を散々指摘した後に「でもすごく良いよ!」と熱弁するのは、どうも危険な薬物や宗教を勧めているような見た目になってしまうので……。

 少なくとも、色々なWebメディアやSNS等で『LoL』の面白さは語られているので、興味が湧いた方は探してみてください。そして、あわよくば試しにインストールして遊んでみてください。 

 

 

おわりに

 長くなってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 この記事は、少し前に僕が「みんなに『LoL』を勧める記事を書こう!」と思って書き始めたはいいものの、ほとんどただの悪口になってしまってお蔵入りにしていたものです。ゲームの面白さは間違いないのにどうしても負の側面が際立っている印象が『LoL』にはあるので、なるべく公平な目線で両方を伝えることができればと思い、このような形にして公開しました。

 僕は公式が発信する純粋な『LoL』の魅力もありがたく楽しんでいますし、同時にTwitterに流れてくるクソみてえな界隈のゴシップもゲラゲラ笑って楽しんでいます。個人的には、なるべく清濁併せ吞む余裕を持つことで『LoL』は一層面白くなるとすら感じています。
 だからといって、別に「プレイヤー全員が広い度量を持って欠点を受け容れろ」と強制するわけではありません。それぞれがちょうどいい距離感を見つけてゲームと向き合ってくれればいいと僕は思っています。楽しみを享受するために苦痛に耐える筋合いはないわけです。実際、先にも述べたたくさんの“ストレス耐性のない人たち”だって、このゲームで楽しく遊んでいるわけですし。

 つまるところ、僕が言いたいのは、ここに挙げた負の側面すらも一笑に付して多くのプレイヤーを楽しませられるほどの魅力が『LoL』にはあるということです。色々とヤバい部分はあるけれど、めちゃくちゃ面白いから世界中でみんながやっている。結局はこれに尽きますね。

 僕としては、『LoL』をよく知らない方がこの記事を読んで、「なんか“沼”っぽいけど面白そうだな」と感じていただけたなら満足です。もし勇気があれば、一歩こちらへ足を踏み入れてみてください。こっちの沼は楽しいですよ。

 

jp.leagueoflegends.com