フリーライターなるしかねえ

社会不適合な若者の日記です

【感想】週刊少年ジャンプ 2019年22・23合併号

 令和の新連載4連弾も控えて、転換期に突入しますね。

 しかし、4つも増えるという事実が示しているのはいったいどういうことなんでしょうか。『ソーマ』が完結するのか、『西遊記』が駆け抜けてしまうのか、はたまた新連載が週刊の形を取らないのか……気になるところです。

 

 

ONE PIECE

 モモの助といいヒョウ五郎といいトノヤスといい、「忘れ去られていた偉人」という題材の目立つシリーズになっていますね。光月家についていた人々は今や悪者扱いされている……みたいなくだりがあった気がしますが、今回のトノヤスへの反応を見る限りでは民衆の印象も悪くない様子。単純にオロチ一派対それ以外という構図になると見て問題なさそうです。

 しかし、長らく「過去編以外で人が死なない漫画」だったこの漫画で、大々的に葬儀が行われるのはどうも慣れない気分です。実は生きてましたという展開を望んでしまいます。

 「寝てただけだろ」と動じないゾロを見て、新世界編ではゾロに子供ができている説を思い出しました。ある程度は根拠のある話だったと記憶していますが、実際はどうなんでしょうね。

 

約束のネバーランド

 鬼の頂点(鬼の文字で表されるアイツ)って、存在がファン泣かせですね。字に書けないわ発音できないわで話題に挙げる時に困ります。アニメでも結局「あのお方」みたいな呼び方でしたし。この場ではWikipedia準拠で「鬼の頂点」の呼称を使いたいと思います。

 その鬼の頂点がエマとレイを招き入れたのは、GF農園に似た空間。「あそぼ」という姿勢を見るに、楽しい謎解きタイムが始まるような予感がしますね。鬼の頂点自身に明確な敵意もなければ外敵もいないということで、想定していたよりは安全な道程になりそうにも思えますが、ここからどうなるでしょうか。

 

Dr.STONE

 衝撃の一言です。新章でも快刀乱麻の快進撃が続いていくかに思われた矢先、一転してこれほどまでに絶望的な展開を迎えるとは、誰が予想できたでしょうか。

 頼りになるメインキャラたちの変わり果てた姿を映すコマ割りと、普段は取り乱すことのないゲンの悲痛な叫びが深い絶望感を演出します。

 一方で、しっかりと希望の兆しを見せてからの引き。構成がうますぎる。

 

ぼくたちは勉強ができない

 心拍数というありふれた材料ながら、明確には先輩の気持ちを示していないのが憎い演出ですね。

 気になる引きですが、次回は「何もない」を否定する回になることは間違いないでしょう。毎度のことながら、成幸くんが少し男気を魅せるどころかぶっ飛んだ行動を起こすのを、不思議と許せてしまうのがこのキャラクターのすごいところです。

 

鬼滅の刃

 まずこの一連のシリーズ、一貫して扉絵が良すぎる。

 もちろん本編も然りで、項垂れたままの猗窩座の頭上に現れる四人の影が、揺らぐ彼の心の葛藤を映し出すシーンは圧巻です。炭治郎の拳が師範を想起させるのも良い。

 僕は個人的に「良い悪役であるためには同情を買わない方がいい」という考えを持っていて、「悪役の過去にお涙頂戴」が描かれるシーンにはやや辟易しているところがありましたが、このエピソードに関しては一切の文句なしです。鬼も昔は人だったという現実に、ただ純粋な「悪役」という言葉だけには収まらないキャラクターの深みが生まれていますね。

 

呪術廻戦

 やきう回あたりから漂っていた寄り道編のような空気を、物語の本筋である宿儺の指を取り巻く戦いの空気へと一気に引き戻しました。

 そしてまた濃い敵キャラが出てきましたね。釘崎が引っかかっていた「臭い」の詳細が気になります。高専一年生トリオだけでどうにかできる範囲を超えているように感じますが、ここからどう展開するのか楽しみです。

 

ブラッククローバー

 強すぎる悪魔くんの無双状態に歯止めをかける初代魔法帝の復活。相変わらずいいテンポですね。

 本来の姿に戻ったネロのデザインもいい。あくまでも「黒の暴牛」にマッチするような見た目を保っているところが今後の展開にも期待を持たせます。

 

神緒ゆいは髪を結い

 鍵斗くんのルーツが明かされて、もう単なる俺様キャラではなくなりました。『花より男子』の道明寺に代表されるような「デレてちょっと改心」パターンではなくて、もともと見掛け倒しだったと打ち明けることで「共感できない俺様」のイメージを打ち捨てた形ですね。

 散々振り回される様子を見せ続けていたこともここで効き目が出ています。“高飛車キャラにみっともない姿を晒させることで読者の愛着が湧く”ということは、ガタガタ震えながら泣く『DRAGON BALL』のベジータが証明済みです。

 ラブコメには冷やかし兼焚き付け役としてのキャラクターが付き物ですが、そういったキャラは往々にして“三枚目”然としたビジュアルを与えられるのに対して、エビちゃんはそもそものキャラデザが可愛いのが上手いところですね。めちゃくちゃ下世話なのに画面の中に居続けられるという技巧。

 わざとらしいまでに古臭い作風の中にも、「ありがち」な構図との差別化を図る工夫がいくつも見られます。マジで生き残ってほしい。

 

チェンソーマン

 少年誌に似つかわしくない飲み会の描写で1話以上を使う贅沢さ。もうこの漫画は何をやっても許される地位を確立しました。

 飲みの席という舞台上では、藤本先生特有の脈絡が辛うじて息をしているようなイカれた会話劇を存分に味わうことができて良いですね。

 

ToLOVEる(読切)

 熟練された技巧が凝縮されていますね。目で見て感じて欲しい芸術作品です。最高。

 

アクタージュ

 ここでライバルの闇堕ち展開。アツすぎる。役者という題材の中で、こういう王道少年漫画の要素を随所で盛り込んでくるのがこの作品の素晴らしいところです。

 いつも僕は主人公の「危うさ」の魅力を語っていますが、「危うさ」を抱えるのはライバルの面々も変わらない部分ですね。千代子ちゃんは闇に染まってしまうのか、無事に帰って来れるのか。続きが読みたくなるスリルが高まっています。サスケェ・・・。

 

僕のヒーローアカデミア

 本作の中でもトップクラスの人気を誇るトガちゃんがついに焦点を当てられます。「普通」になれない過去は狂気に満ちていて、現在に至るまで彼女の根幹を成していることが理解できます。彼女が納得のいく「普通」を手に入れるのは、まだまだ先になりそうです。

 個人的に印象に残ったのは、バトルシーン中の傾いたモノローグ。劣勢にふらつく現状だけでなく、彼女が本来持ち合わせる不安定さも感じさせるかのような演出です。

 

ハイキュー!!

 苦しい展開の中に日向が光を差し込ませたという印象が強いところですが、コーチの采配に拍手を送りたいです。幅広い1コマを使って「シィッ」と喜ぶ様子をしっかりと挟んでいるのが良いですね。古舘先生、こういうところにとにかく抜け目がない。

 そして1年コンビの活躍を憎々しげに見ているツッキーも良い……。彼の活躍も楽しみです。もちろん先輩たちも。ノヤさんのレシーブミスもフラグっぽいし。

 

思春期ルネサンスダビデ

 今週もオチを迎えずにシリアス回が続いているということは、つまりそういうことですね。

 それでもしっかりと友情ものとして読めるというのは、小便小僧くんの持つ味わい深いキャラクターでこそ成せる技だと思います。

 

最後の西遊記

 そろそろアンケートも反映されてきて、掲載位置が苦しくなってくるような感触があります。今週も作中の基本となる概念の追加説明をしていますが、もう9話なんですよね……。

 1話冒頭の動画のシーンはクライマックスに近いものだと想像していましたが、どうやら物語の始まりに近いもののようです。ようやく場所も動きましたし、西遊記らしい冒険が始まってくれそうです。ていうか始まってくれ。

 

ゆらぎ荘の幽奈さん

 過去のコガラシに修行をつける展開はアツいですね。

 タイムパラドックス的な部分を心配していましたが、これによって霊力を高めたのが現在のコガラシという文脈も無理なく成り立ちそうで素晴らしい構成です。

 

火ノ丸相撲

 チョイ役の悪者として描かれた蜻蛉切にもアフターストーリーが用意されていました。全敗は番付が下がるどころか幕下も見えてくるということで、かなり厳しい結末ですね。インガオホー!

 そして満を持して登場する部長。額の傷は決意の証だったんですね。ずっと登場しなかったのはこの時のため……これには期待が高まらずにはいられません。

 というところで、まさかのご両親へのご挨拶イベントに突入しての引き。この漫画の恋愛ドラマパートはめちゃくちゃ面白いので、正直本場所より楽しみです。

 

ギソウ武伝(読切)

 バトルマンガとしての構図が素晴らしい読切でした。GIGAの方で人気だったのも頷けます。

 一方で、本誌で長く連載するとなるとかなり苦しくなる部分が多そうな設定に感じます。いっそ全く新しいバトル漫画で連載を狙って欲しいですね。

 

ne0;lation

 わかってはいましたが、俺たたエンドで打ち切り。掲載位置がドベより少し高いのは、ここ最近の評価の高さでしょうか。過去編は特に良かったですしね。個人的には、打ち切りまでになかなかいいスパートをかけてくれたので満足です。

 とにかく少年誌で書くには題材が難しかったですね。リアルに寄せるならより緻密に作りこむ必要があったようです。いっそもっと有り得ないファンタジー寄りでもよかった……難しいところです。

 ハッキングを題材にしたアツい漫画がもっと読みたいと感じた方は『王様達のヴァイキング』を読みましょう。今ならマンガワンで無料です。

 

食戟のソーマ

 薊パパの登場で真凪ママの過去も描かれ、ついに役者は揃いました。あとはソーマが全員剥いておしまいでしょう。もはや完結まで見えて寂しいところです。

 クライマックスですから、ドデカい花火を打ち上げて伝説になって欲しいですね。

 

獄丁ヒグマ

 最終回を前にして、どうしても引っかかる存在だった閻魔大王の真意を明かすところで引き。説明しなければいけない部分はしっかり出し切って終われそうです。

 最近はダークヒーローものがなかなか生き残れませんね。『鬼滅』や『約ネバ』、『呪術廻戦』も世界観こそはやや暗いですが、主人公が明るさを備えていたり、そもそも会話劇の質が高かったりという点でうまく読者の心を掴んでいます。

 やっぱり『ネウロ』や『ムヒョ』はすごかったんですね、主人公がガッツリ闇のオーラを纏っているのに……。『チェンソーマン』もそういう道を進んで欲しい。

 

 

 次号からはビッグネームの新連載も始まり、また楽しみが増えそうで嬉しい限りです。

 でも2週間は長い。いつになっても合併号はしんどい。